株式会社アトックスについて調べてみた

アトックスという会社について色々とまとめてみました。どんな会社か興味がある人興味のない人?も一度チェックしてみては?

タグ:福島第一原子力発電所

株式会社アトックスは、2014年に福島復興支社を設立しました。これは東日本大震災の影響を受けた福島地区に対して、復興事業を行うためのものです。主に福島第一原子力発電所内の汚染水処理や放射線管理、周辺地域の除染活動などに取り組んでいます。

ここではアトックスが行っている福島復興事業についてまとめたので、ご紹介していきましょう。

アトックスの福島復興事業について

アトックスは東日本大震災の以前より原子力施設に事務所を設け、保守管理や放射線廃棄物処理などの事業を行ってきました。そして、福島第一原子力発電所の事故以降は廃止措置に向け、自社の最優先課題と位置付けて福島復興事業の展開を決定しましました。そこで福島県双葉郡富岡町に設立されたのが、福島復興支社です。具体的にどのような事業を行っているのか、ご紹介しましょう。

アトックス福島復興支社 富岡倉庫アトックス福島復興支社 富岡倉庫 [画像元:atox.co.jp/business/business03/index.html]

廃炉工事

汚染水を貯めているフランジ型タンクを速やかに解体するために取り組んでいる業務です。主な業務はタンク内に残った汚染水の移送やクラッドと呼ばれるステンレス鉄性のカバーの回収・清掃業務です。また、建屋内における放射線量を軽減するために、線量調査と除染活動も実施しています。

高線量と診断された箇所に対してはドローンを活用して、線量の測定を行っています。従来の装置では行き届きにくい部分は、アトックスが独自開発した小型遠隔除染装置「RACCOONⅡ」を導入して除染を可能としました。

ドローンと小型遠隔装置を用いることで、安全性を確保しつつ、適切な調査と除染活動に努めています。さらに後ほどご紹介していきますが、アトックスでは技術開発センターを設けており、廃棄物処理技術の開発を手掛けています。

アトックス_小型遠隔除染装置「RACCOONⅡ」/ドローンアトックス_小型遠隔除染装置「RACCOONⅡ」/ドローン[画像元:http://www.atox.co.jp/business/fukushima/]

設備工事

汚染水にはセシウムやストロンチウムなどの放射性物質が含まれており、汚染水対策を目的に設備の運転や保守管理に取り組む業務です。放射性物質を取り除くために、「KURION」と「SARRY」という2つのセシウム吸着装置を建屋内に設置して稼働させています。

さらに、トリチウム以外の放射性物質を除去するために、「ALPS」という多核種除去設備の運転・保守管理などを行っています。

環境施設

強い放射線は人の体に健康被害を与えるリスクがあり、発電所での作業は危険を伴う業務です。アトックスは復旧作業に関わる従業員に対して、適切な防護措置を実行できるよう、定期的に構内の放射線測定を行っています。
さらに自治体施設などの清掃も行い、健康被害のリスクを低減に努めています。

地域復興

アトックスは福島県内にある汚泥処理施設、浄化センター、除染工事の施設などに対しても、放射線管理や廃棄物処理といった業務を展開しています。また、福島復興支社に倉庫を設け、地域のニーズの応えられるように努力しているようです。

復興事業を支える技術開発センター

アトックスには技術開発センターというものがあります。これは7棟の研究用建物で構成されており、アトックスの事業に関する技術開発が行われている施設です。技術開発センターでは主に医療分野で使われるガンマ線の試験研究、各種測定・分析、評価業務、原子炉ウェル模擬施設での試験運転、訓練などが行われています。

また、研修や訓練施設の機能も兼ねており、ここで技術者の育成やスキルアップが行われています。アトックスの様々な事業に関わる施設ですが、福島復興事業でも重要な役割を持つ場所です。

資源エネルギー庁は「総合的線量低減計画策定」と「円筒容器内水位測定のための遠隔基盤技術の開発」というプロジェクトを設立しています。アトックスもこのプロジェクトに参画しており、技術開発センターを中心に復興事業を推進しております。今後も様々なプロジェクトに参画・連携し、また国内外の機関と技術協力をして、復興活動に努めていくようです。

復興事業に向けた技術開発の取り組み

アトックスの技術開発センターでは、福島復興に向けた技術開発が積極的に取り組まれています。具体的に行われている技術開発や施設サービスについてご紹介しましょう。

最新の除染、検査技術の開発

発電所の廃止措置を見据え、高線量の環境下でも安全に作業できる技術が必要です。そこで、アトックスは長年培われた除染・検査技術に、遠隔操作技術を組み合わせて、最新の除染装置などを開発し、現場に導入しています。今後も廃止作業を考慮し、技術開発センターで最新の機器開発に取り組んでいきます。

廃棄物処理の技術開発

発電所の廃止措置の過程で廃棄物が発生します。これらの廃棄物は放射性物質が含まれるものや、金属廃棄物が中心なので、一般的な廃棄物以上に適切な処理が必要です。技術開発センターでは放射性廃棄物の処理方法や金属廃棄物の解体・減容工法の開発に努めています。アトックスは廃止作業で廃棄物処理技術は必要な技術であり、福島の環境回復にもつながる重要な要素と捉えて積極的に開発を進めています。

放射能の測定サービス

福島第一原子力発電所の事故以来、アトックスには自治体や企業から放射線の測定・検査依頼が相次いでいるようです。技術開発センターでは各種測定・試験ができる施設を設けています。施設を活用したサービスとして、水、土壌、作物、食料、井戸水などの安全性を確認するために、放射性物質の測定を継続的に実施しています。

まとめ:株式会社アトックス、最新技術と幅広い事業で福島復興に貢献

アトックスは最新技術を用いた廃止措置を中心に、幅広い事業で福島復興に貢献していることが分かりました。最新技術の導入により炉内の調査や除染は可能となりましたが、まだまだ様々な課題が残されています。アトックスの技術開発はリスクを減らし、迅速な廃炉を実現する取り組みにつながっています。今後も廃炉に向けた技術開発や除染活動、地域復興を通じて、福島の環境や人々を支え続けていくことでしょう。

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進化してきたアトックスの技術とは?今後の展望は?株式会社アトックスは、主に原子力施設の保守管理を手掛ける会社です。放射線管理のエキスパートであり、その技術はどんどん進化を続けています。そもそもアトックスはどのような技術を持つのか、またその技術はどんなことに活用されているのか、詳しく知らない方も多いでしょう。

今回は、進化を続けるアトックスの技術や今後の展望についてご紹介します。

アトックスが持つ技術とは

アトックスは全国20箇所以上に拠点を置き、原子力発電所の保守管理を行っています。主力である原子力発電関係の事業では機器の設置・メンテナンスから付着した放射性物質の除去・付着防止の工事、放射線管理、放射性廃棄物処理までトータルで対応しています。これらの事業を行っていくためには、高度な技術力が必要です。

例えば固形や液体の放射性廃棄物は、それぞれ適切な処理方法を使って貯蔵体積を可能な限り減らしています。固形の放射性廃棄物の処理では、燃えるものであれば焼却炉で燃やして灰にすることで貯蔵体積を減らしているのです。一方、液体の放射性物質は、放射性物質をろ過したり、廃液蒸発装置で濃縮したりしてから残留物をアスファルトなどで固めます。

また、RI(放射性同位元素)の取り扱いに関するノウハウを活かし、RI研究施設への支援業務や核医学医療分野に関する事業も手掛けています。研究機関などとの共同研究では、核医学医療に関する医療機器(頭部専用PET装置の共同開発・製品化)や前立腺がんの診断薬の研究開発も担うほど、アトックスは高い技術力や開発力を持っているのです。

アトックスの技術の活用事例

放射線管理に関する高度な技術を持つアトックスは、福島第一原子力発電所にて様々な事故処理に対応しています。高放射線量下での作業管理や建物や設備などに付着した放射性物質の除去から、汚染水を処理するためのセシウム吸着装置(KURION)や第二セシウム吸着装置(SARRY)の運転や保守管理に務めています。

さらに、トリチウム以外の放射性物質を取り除くための多核種除去設備(ALPS)の運転・保守管理や薬品の供給も行っています。また、アトックスの技術は福島第一原子力発電所に限らず、日本全国の原子力発電所や原子力燃料サイクル施設などでもフルに活用されています。

優れたアトックスの技術は、原子力発電所の定期検査対応やキャビティ除染、放射性廃棄物の減容化から保管までの情報管理など、幅広い領域において貢献しているのです。

福島第一原子力発電所の廃炉作業をきっかけに向上した技術レベルとは

東日本大震災および福島第一原子力発電所事故をきっかけに、アトックスの仕事を大きく変わったそうです。誰も経験したことのない環境下での廃炉作業では、試行錯誤しながら仕事をしていく必要がありました。高い放射線量のある環境なので人の立ち入りに制限があり、現場の状況を把握しきれなかったことが作業を難しくしていたようです。

そこで、アトックスは作業環境の改善のために、遠隔操作で除染作業ができるロボットを開発します。また、ロボットを現場まで運ぶのは人の役目なので、運搬のしやすい重さにする必要がありました。さらに、通路幅が狭いこと、配管などの障害物や高さの制限も考慮して、最大限の機能を持ちながらも小型化させなくてはなりませんでした。そして震災から2年半ほどかけて、小型遠隔除染ロボットのラクーンが完成しました。ラクーンはアトックスが開発した壁面除染ロボットとして、長年蓄積された技術やノウハウに基づいて開発されています。ロボットのおかげで除染作業が飛躍的に進んだことは、高く評価されました。

他にもドローンや遠隔ロボットを駆使して線量率などのデータを集めて分析を行い、作業計画の立案を手掛けているほか、運転を終了した原子力発電所の解体・撤去に向けた技術開発、再稼働プラントへの対応業務なども担っています。


震災や原子力発電所の老朽化により、求められる仕事内容も大きく変わり、それがアトックスの技術や開発力を高めるきっかけとなったのです。




今後のアトックスの技術開発や展望について

アトックスが高品質なサービスを提供できる理由は、たゆまない努力で技術開発を続けてきた歴史にあります。技術とノウハウの維持のために社内に開発部門を設け、1~5年の短い期間で現場に導入できる技術を生み出す努力をしているのです。また、お客様からの多様なニーズに応えられるように、技術力の向上を目的に海外の原子力関連企業との連携やジョイントベンチャーの設立なども行っています。

ここ数年では遠隔操作が行える装置の開発に多数関わっており、アトックスにおいても作業者の安全性確保に関するニーズは拡大していくと予想しています。すでに実績のあるアトックスは拡大するニーズに対応するために、さらなる技術開発に努めていくでしょう。同時に放射性物質の処理でも、分別や減容化のために高度な技術開発を行っていくようです。

さらに、核医学医療分野では、前立腺がんの診断薬や新しいがん治療法に使われる薬剤の生成装置などの開発に着手しており、最新医療のさらなる発展も期待されています。

まとめ

進化を続けるアトックスの技術についてご紹介しました。長年、原子力発電所の放射線管理を担ってきたノウハウが、福島第一原子力発電所での効率的な廃炉作業の実現につながっていました。また、今まで経験したことがない環境下での廃炉作業は、放射線管理の技術をより高めるきっかけにもなったようです。

震災により求められる仕事が変わったことで、アトックスはさらなる技術開発を進めており、放射線管理や核医学医療分野で功績を残しています。これからも進化していくアトックスの技術や事業に注目していきましょう。

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株式会社アトックスは、原子力発電関連事業を主として原子力関連施設のメンテナンスサービスや技術開発などを行っている企業です。現在の福島復興状況などについて調査してみました。福島復興の近況が気になる方は、ぜひご覧ください。 東日本大震災の被災時から、年々福島の復興は進んでいます。福島復興の近況について見ていきましょう。

被災者支援

福島で被災した人たちに対し、住宅・生活再建の相談支援やコミュニティー形成支援が行われてきましたその結果、令和元年の調査では避難者数は震災直後の約47万人から、約5万人にまで減少しています。 また、被災直後は多くの被災者が仮設住宅や公営住宅に入居していましたが、徐々に恒久住宅への移転が進んでいます。その結果、平成23年4月には約12万4千戸だった仮設住宅等の入居戸数は令和元年には約4千戸まで減少しました。

鉄道復旧状況

震災以降、JR常磐線で停止していた多くのルートで現在は運転が再開されています。平成31年4月20日にはJR常磐線のJヴィレッジ駅が新たに開業し、Jヴィレッジが全面営業再開しました。

産業再生状況

産業再生のために北海道や青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県における計11,690事業者の中小企業に対し総額5,224億円補助金が支援されています。震災の影響で平成23年には大幅に減少した福島県の製造品出荷額は、平成26年にはほとんど震災前の水準まで回復し、平成29年には100%まで回復しました。

原子力災害からの復興・再生状況

2018年11月時点での東京電力福島第一原子力発電所から80km圏内における空間線量率平均は、2011年11月時点に比べて約77%減少しました。除染の進捗状況は、平成30年3月までには期間困難区域を除いた8県100市町村において面的除染が完了しています。また、帰還困難区域内とされていた6町村の特定復興再生拠点区域で避難指示が解除され、居住のための帰還環境整備が進められています。

まとめ

株式会社アトックスは、原子力発電関連事業に従事している会社です。アトックスでは福島復興を一大事業として取り組んでおり、廃炉や設備工事などに尽力してきました。福島復興は年々進められており、今後も順調に復興事業が推進されていくと考えられます。福島復興に携わる株式会社アトックスの取り組みにも注目してみてください。

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