2011年3月の東日本大震災により、福島第一原子力発電所の外部電源が全て喪失しました。そんな中株式会社アトックスは、原子力発電所の総合的なメンテナンス技術を築き上げ、原子力の課題解決に向けて一段レベルアップした企業へと前進しています。
そこで今回は、株式会社アトックスの概要や主な事業内容などをご紹介していきましょう。また、株式会社アトックスで働く社員の口コミや企業が求める人物像についても分析していきます。
アトックスの概要
会社名 | 株式会社アトックス |
公式ウェブサイト | https://www.atox.co.jp/ |
本社所在地 | 〒108-0014 東京都港区芝四丁目11番3号 芝フロントビル |
代表 | 矢口敏和 (代表取締役社長) |
設立 | 1980年9月1日 |
資本金 | 1.5億円 |
事業内容 |
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アトックスは1980年9月1日に設立された企業であり、原子力施設に対するメンテナンス事業に長く携わってきました。民間で最初に原子力施設内へ事業所を開設したことでも知られています。
本社は東京都港区に所在し全国に支社や事務所、事業所、営業所、測定センターなどがあります。代表取締役社長は矢口敏和氏が務めています。2000年4月にISOを取得し、2023年3月期の売上高は253億円となっています。
アトックスの関連会社
アトックスの関連会社にはどのような企業が関連しているのでしょうか。アトックスの関連会社についてご紹介していきます。
株式会社西日本クリエイト 株式会社青森クリエイト 株式会社福島クリエイト | 西日本・青森・福島クリエイトは、アトックスの子会社であり、放射線管理、機器点検・保守などの原子力関連業務から清掃、設備管理などの建物総合管理まで、幅広い業務に携わる。 |
株式会社エフ・ティ販売 | 原子力施設メンテナンス、ビル管理事業での豊富な経験と実績をいかし、関連資機材の販売を行っている。 |
グローブシップ株式会社 | 総合ビルメンテナンス業務(設備管理/各種清掃/設備保持/ビル群集中管理/各種工事/マンション管理/コンサルテーションなど)を行っている。 |
Orano ATOX D&D SOLUTIONS Co., Ltd. ( 略称 ANADEC ) | アトックスとフランスのオラノ社との合弁会社。 オラノ社が世界中で蓄積してきた原子力施設などのD&D分野での高度な技術とアトックスの メンテナンス技術、および現場での実践経験とを融合・活用することにより、様々な革新的なソリューションを提供している。 |
アトックスの事業内容
株式会社アトックスは、福島復興事業の他、原子力関連施設における各種事業、RI(放射性物質)及び医療事業関連業務を中心に行っています。その中で業務内容は下記になります。
■原子力施設関連事業
- 設備・プラント工事
- 廃止措置工事
- 施設管理
- 放射線管理
■福島復興事業
- 廃炉工事
- 設備工事
- 環境施設
- 放射線・分析事業
- 地域復興
- 倉庫業
■ライフサイエンス事業
(核医学関連)
- 頭部専用PET装置 Vrain
- 68Ge/68Gaジェネレータ
- 安定同位体/放射性同位体
(研究開発)
- 前立腺がん診断薬「68Ga-PSMA」の研究開発
- 224Ra/212Pbジェネレータの研究開発
- (製薬会社および病院向けサービス)
- 加速器の保守管理業務
■その他の事業
- 機器販売
- 物品販売
- 放射線管理手帳の発行
- 放射線教育
福島復興事業とは
アトックスは電力会社や政府、自治体、メーカーなどの関係者と協力し、2011年に福島復興事業を立ち上げました。ここでは、その福島復興事業をピックアップして取り上げていきます。
これまで原子力施設内の汚染水処理装置の稼働や放射線管理業務などに貢献してきましたが、福島第一原子力発電所の事故以来は除染試験や実験などにも積極的に取り組んでいます。
福島復興支社では、以下のような業務を行っています。
廃炉工事
主な業務はフランジ型タンク内の残水を移送したり、クラッドを回収したりすることです。さらに、建物内線量低減に向けて線量調査や除染作業も行っています。
設備工事
汚染水対策設備の運転・保守管理などの業務を行っています。汚染水に含まれるセシウムを除去するためのセシウム吸着装置などの運転・保守管理をしています。また、使用済み水処理なども行っています。
環境施設
環境施設では、福島第一原子力発電所において放射線量の定期的な測定を実施しています。また、自治体施設などの清掃をはじめとした総合的なビルメンテナンスも行っています。
放射線・分析事業
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)大熊分析・研究センターにおいて、福島第一原子力発電所で発生した固体廃棄物の分析業務を行っています。また、福島第一原子力発電の環境モニタリングで得られたデータを公表するための準備作業も行っています。
地域復興
福島県内において、国などが実施する復興事業の放射線管理業務や廃棄物処理などを行っています。
倉庫業
福島第一原子力発電所を始め、復興に関する事業や地元企業から物資を安全に保管するというニーズに対応した倉庫業を行っています。
技術開発センターとは
アトックスは技術開発の拠点として1988年に「技術開発センター」を開設しました。現在地である千葉県柏市に移転したのは2008年のことです。敷地面積はおよそ9,600㎡(大型実験棟分の約3,400㎡を含む)で、敷地内には管理棟や大型実験棟、各種試験棟など7つの棟で構成されています。
【主な研究施設】
- 大型モックアッププール施設
- ガンマ線照射施設
- 放射性同位元素(非密封)使用施設
- 化学実験施設
- 分析・測定機器
アトックスの公式Youtubeチャンネル
アトックスの公式YouTubeチャンネルでは、企業の紹介動画やアトックスで働く現役社員のインタビューを見ることができます。
アトックスの技術や資格について
ここまでアトックスの概要や事業内容についてご紹介してきましたが、ここからはアトックスの業務における技術や資格についてご紹介していきます。
アトックスの廃棄物処理技術
アトックスでは原子力関連施設などから発生する放射線廃棄物の処理について、原子力発電所やRI施設での雑固体廃棄物処理作業で得た知見を基に最適な処理方法を提案しています。
もちろん福島第一原子力発電所以外の施設においても、定期検査の対応やキャビティ除染、放射性廃棄物処理、廃棄物の減容化、バーコード技術等を用いた情報管理など、「放射線管理のエキスパート集団」として幅広い領域での業務を行っています。
アトックスの社員が所持している資格
アトックスで働いている社員の中には「第一種放射線取扱主任者」という資格を持っている方がいます。この第一種放射線取扱主任者とは、放射線障害防止に関係する法律に基づいた国家資格のことを言います。
アトックスでは、「第一種放射線取扱主任者」をはじめとした幅広い分野における資格や免許の取得を奨励しており、働きながら資格取得の勉強をしている社員も多くいます。アトックスにおける「放射線取扱主任者(第一種、第二種)」の取得者数は業界トップクラスです。
アトックスの社風、職場環境、求める人物像は?
ここからは、アトックスの社風や企業としての取り組みなどのほか、アトックスで働く社員に求められている人物像などについて紹介していきます。
アトックスが大切にするコミュニケーション
アトックスは、原子力のエキスパートとして多くのサービスを提供してきた実績がある企業です。原子力施設に関連するトータルメンテナンスサービスを提供し続ける総合サービス会社である現在、様々な現場でアトックスの強みが活かされています。
アトックスが関わる業務では、効率よく短時間で業務を行わなければならないことが多くあります。安全かつ安心な現場環境を実現するため、アトックスでは社員同士の情報共有やコミュニケーションをとても重要視しています。
お互いに働くパートナーとして、より良い関係を築くためにはチームプレーが大切です。そして「チームプレーが仕事を円滑に遂行するための基本」という考えから、アトックスでは地域交流にも積極的に取り組んでいます。
今までも事業所ごとに職場活性化活動に積極的に取り組み、誰にでも話しやすく相談しやすい環境作り、そして誰かをサポートできる環境や関係性を築くための工夫をしていました。今後もさらに社員同士がひとつの目標に向かっていけるように、”チームプレー”をアトックスのポリシーとして社員同士の交流を積極的に行っていくそうです。
アトックス社員のチームプレーは社員同士のコミュニケーション以外にも、地域との交流活動を通じて培われています。清掃や福祉イベント、ボランティア活動などの課外活動に力を注ぐ有志も多く見られます。
アトックスの求める人物像
アトックスでは設備運転士という特殊な業務に携わることがありますが、学生時代に放射線や原子力に関する教育を学んでいない人も毎年多数入社します。そのような社員も安心して働けるよう、入社後に放射線についての知識を学ぶことのできる研修がしっかり用意されています。
さらに、入社時の基礎教育以外にも「作業管理に関わる基本的な知識を習得する研修」「放射線管理のための各種機器に関する専門教育」を受けることができます。
社員としてランクアップすればキャリアアップを目指すための階層別教育も受ける事が出来ます。最初の専門知識がなくても入社後に専門知識取得の機会が用意されているので、学ぶ意欲のある人物には最適な環境だと言えます。
また、コミュニケーションを大切にしている企業であるため、社員同士でできるだけ会話を交わすよう求められる場面があります。
一人ひとりの技術や能力も大切ですが、チーム全体で協力しあって業務を遂行し、社員との関わりを大事にしていける人物には、アトックスがぴったりな職場ではないでしょうか。
女性の活躍に関する行動計画
- 管理職における女性比率を5%以上にする
- 男女の勤続年数の差を3年以内にする
アトックスの待遇(給与)は?
アトックスの正社員として採用された場合の待遇(給料)について見てみましょう。以下は就職情報サイト(2025年版)に掲載されている内容となります。掲載情報が変更される可能性もありますので、詳しくは最新のサイトを確認してみてください。
(1)【正社員】技術職(2)【正社員】事務職
短大/専門/高専 卒業見込みの方
短大/専門/高専 卒業の方
月給:189,400円~204,400円(一律手当含む)
大学 卒業見込みの方
大学 卒業の方
月給:212,100円~227,100円(一律手当含む)
大学院 卒業見込みの方
大学院 卒業の方
月給:224,300円~239,300円(一律手当含む)
備考:※一律手当:「地域手当 4,000円~19,000円」を含む。
引用:リクナビ2025
アトックスでは通勤手当のほかに、残業手当、地域手当、役職手当、別居手当、福島地区手当、寒冷地手当などがあります。昇給は年1回(4月)、賞与は年2回(6月、12月)となっています。
アトックスの充実した福利厚生
アトックスでは、充実した福利厚生制度を取り入れています。休暇制度や表彰制度、住宅手当やレクリエーションなどを豊富に取り入れることで、働きやすい環境が保持できます。ここでは、取り入れている福利厚生の内容をご紹介します。
【休暇】
アトックスでは、様々な特別休暇制度を設けています。これにより、平均有給休暇取得日数は17. 0日(2022年度平均、計画年次有給・夏季休暇含む)と、高い水準となっています。現在公開されているアトックスの働き方に関する実績(2022年度実績)は以下の通りです。
- 月平均所定外労働時間 11.9時間
- 平均有給休暇取得日数 17.0日
- 前年度の育児休業取得者数 12名(※女性は取得対象全員が取得)
※参考:マイナビ2025
アトックスは、週休2日制です。年間平均休暇は123日、年次有給休暇の他に一般的な夏季、年末年始休暇、特別休暇(慶弔休暇、産前・産後休暇、育児休暇、介護休暇など)があります。【保養所】
アトックスは、長野県に保養所を持っています。社員の研修や保養目的で使用されています。
【寮・社宅】
アトックスでは、独身寮や社宅などの家賃補助制度があります。
【表彰制度】
アトックスでは、幅広い分野において免許や資格取得をした社員に、必要度や難易度に応じた褒賞金を支給しています。主な対象資格は、以下の通りです。
- 第一種放射線取扱主任者
- 第二種放射線取扱主任者
- 技術士(原子力・放射線部門)
- 技術士補(原子力・放射線部門)
- 核燃料取扱主任者
- 原子炉主任技術者
- 作業環境測定士(一種1~5、二種)
- 電気主任技術者(一種~三種)
- 電気工事士(一種、二種) など
中でも国家資格である放射線取扱主任者の取得者数は業界トップクラスです。
アトックスが行うレクリエーション
事業所ごとに行われるレクリエーション・イベントでは、普段仕事ではあまり関わらない人同士であっても参加したことがきっかけで接点が生まれ、事業所自体の活性化にも繋がるようになっています。ここでは、アトックスが開催しているレクリエーションの内容をご紹介していきます。
【クラブ活動】
- サッカー部
- キャンプクラブ
- ランニングクラブ
- テニスクラブ
- スポーツクラブ
- フットサル部
- オールプレイクラブ
- カメラクラブ
- 相撲部
- 釣りクラブ
- スキー倶楽部
- ソフトボールクラブ
- ボーリングクラブ
- 野球部
- ハイキングクラブ
- バドミントン・卓球クラブ
など
引用:アトックス
【イベント】
- 社員旅行
- 東京湾クルーズ
- 屋形船
- 日帰りバスツアー
- ショーを見ながらのディナー
- ボーリング大会
- スポーツ大会
- ディズニーランド日帰り
- バーベキュー大会
- ラフティング大会
など
引用:アトックス
アトックス代表取締役の矢口敏和氏はどんな人物?プロフィールや経歴(略歴)
現在アトックスの代表取締役である矢口敏和氏はどのような人物なのでしょうか。
1953年茨城県に生まれた矢口氏は、一橋大学を卒業後三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、その後ビル代行(現グローブシップ)の取締役を務めます。さらに同社の代表取締役社長に就任し、兼務する形でアトックスの代表取締役を務めています。
2016年には世界80ヵ国で総合施設管理を手掛けるフランスのソデクソ社と合弁会社を設立し、日本国内で本格的な総合施設管理事業を開始しました。海外にも目を向けており、東南アジアへ事業展開も検討しているようです。矢口氏はアトックスの取り組みが国内原子力産業の再生につながることを願い、日々のソリューション力向上に努めるとしています。
また、未来のテクノロジーを担う人材育成にも注力しており、仕事の担い手である社員の幸せも考えています。矢口氏は「社員一人ひとりが自己実現に向かってチャレンジしてもらいたい」とも語っていますが、社員がチャレンジするためには、環境を整える必要もあります。アトックスでは、社員が力を思う存分発揮できるよう、充実した職場環境・体制づくりに努めているのです。
株式会社アトックスの口コミ
アトックスで働く社員は、自分の会社をどのように評価しているのでしょうか。ここでは、社員の特徴や会社に対する口コミ・評判について見てみましょう。
発電所等の大勢の人手が必要な現場へ、数を派遣することでは負けないと思う
出典:https://en-hyouban.com/company/10004769206/kuchikomi/?pagenum=2
【キャリアアップを目指せる環境か】→色々な現場があり、必要な資格を取るための補助が出る。
出典:https://en-hyouban.com/company/10004769206/kuchikomi/?pagenum=2
休暇は取りやすく、残業は多くないので、プライベートは充実できる。職場の雰囲気はアットホームな感じで、溶け込みやすい。
出典:https://syukatsu-kaigi.jp/companies/121818
キャリアアップを目指そうと考えた時、昇級するために評価面接という制度があります。そこでは目標や将来などについて話し合います。
出典:https://syukatsu-kaigi.jp/companies/121818
挑戦的な社風か、堅実な社風か→ どちらかと言うと 堅実な社風だ
出典:https://en-hyouban.com/company/10004769206/
自分のやり方で仕事が進められるか、進め方にルールがあるか→ どちらとも いえない
出典:https://en-hyouban.com/company/10004769206/kuchikomi/?pagenum=2
“班のなかには私より年上の人がいますが、優しい人たちばかりです。もちろん、仕事中は緊張感をもって集中していますが、仕事場から離れれば、みんな和気あいあいとやっています。”
“仕事が終わると、班単位ではもちろん、会社内でもよく飲みに行っています。少しお酒が入ると、普段は聞けないことも聞けるので、コミュニケーションを図るのに役立ちます。“
引用元URL:https://1f-all.jp/interview/08/
以上のような口コミが寄せられていました。新しい設備等が次々に入ってくる現場は技術のレベルを保つためにも、より良いチームワークを築き上げていくことが大切だと言えるでしょう。
また、残業が少ないようなので仕事とプライベートを両立したいと思っている人にとってはおすすめの会社ではないでしょうか。またこれからの社会に必要不可欠な事業をしているので安定性があり倒産などといったことを心配することなく従業員は安心して働く事ができそうです。
まとめ
株式会社アトックスについてご紹介しました。社名が株式会社原子力代行の時代から株式会社アトックスは、原子力施設のメンテナンスや放射性物質などに関わる業務を行ってきました。
震災後は、滞流水処理装置の運転や放射線管理業務、福島周辺の除染にも取り組み震災復興に向けて貢献しているようです。社内環境においては、充実した福利厚生が社員同士のコミュニケーションを増やし、アトックスの良好なチームプレーを生み出しています。
今後も、福島復興と全国の原子力発電所の再稼働に向け貢献すると共に、原子力の課題解決に向けてレベルアップした業務を完遂できる企業へと成長していくことでしょう。